
2019年3月31日に教員を退職し、4月1日に開業届を提出。
1か月のお試レッスン期間を経て、5月1日にオープンしてちょうど1年が過ぎた。
音大卒業後、フリーランスとして活動したのち、故郷の茨城で4年間公立中学校の教員として教壇に立ち、再びフリーランスに舞い戻った。
そうまでして教室を立ち上げた理由は2つ。
1つ目は、楽器の吹きかた・奏法に悩んでいる人の力になりたかったから。
僕自身が「フォーカル・ジストニア」で10年近く苦しんだ。
「フォーカル・ジストニア」から復帰して演奏できるようになった姿を見せることで、今悩んでいる人に勇気を与えることができるかもしれない。
そのメソッドを公開することでこれから上手くなろうとしている人の役に立つこともできるかもしれない。
何より「正しい情報に基づいて練習して、誰もがつぶれずに楽器を楽しんでほしい」
そんな願いから一念発起して教室を立ち上げた。
2つ目の理由は、音楽家のキャリアの課題から目を背けられなかったから。
確かに教員になれば安定。
音楽の仕事で安定を得るのは大変なことだし、何より教員は本当に素晴らしい職業だ。
でも、大学時代ともに高め合った仲間たちはどうしているんだろう。
演奏から離れてしまった人も少なくないらしい。
素晴らしい成果を上げた後輩たちは今もバイトで生計を立てている人もいるらしい・・・
みんな素晴らしいプレーヤーなのに、こんな世の中でいいのか?
そんなことを考えていたら自分だけ安全地帯に逃げてしまったような気がした。
もう一つ挙げれば、学校現場でも音楽の行事はどんどん縮小され、部活動すらゆくゆくは地域に切り離すという話さえある。
地域にその受け皿は用意されていないし、そもそも地域の場で気軽に音楽に親しめる文化も充実しているとは言いにくい。(仮に充実しているのならば音大卒業後は地元に帰り地域の音楽文化に寄与する仕事を得るという選択肢をとれるはずだ。)
そんな想いが抑えきれず、独立した。
そして、サポートを求める方に気軽に利用していただけるように、いつでもどこでも検索すればたどり着けるWEB上に教室をつくるという選択をした。
それで、今「フリーランス」としてどうしているかというと、(自粛前)
①鴇田金管奏法教室
奏法のサポート
・個人レッスン(オンライン・対面)
・教材作成、販売(オンラインコミュニティ、kindle電子書籍)
・オンライン奏法研究会
キャリアのサポート
・主催イベント「#どうする音大生」「専門性を生かしたキャリアを考える」などキャリアに関するワークショップイベントの開催
・キャリアカウンセリング
・小中学校での職業講演会
・地域に演奏の機会を生み出す仕組みづくり
②茨城おとのわプロジェクト
・演奏家と地域の場をつなぎ、気軽に生の音楽に触れることができる場(=演奏の機会)を生み出す活動。(in水戸は水戸市協働事業に採択。)
③公立中学校非常勤講師
・音楽の授業(中学校の音楽の授業は全員が音楽を学ぶ最後のチャンスであり文化醸成の基盤。)
④私立中高吹奏楽部 指揮・指導
・吹奏楽部の外部顧問として吹奏楽部の指揮・指導。みんなで良いものを作り上げる喜びを一緒に味わいたい。
⑤キャリア教育事業を行うNPO法人(予定)
・高校生を対象に現役の社会人が仕事のチカラを伝える授業を行う。6月に登壇します!
⑥地域の場での音楽の授業
・コワーキングスぺースなど地域の場で音楽の授業を開催。
学校や地域の場での教育活動の他、奏法の悩みやキャリアの悩みのサポート、そして、地域に音楽の場を生み出す活動が形になってきた。
教室としては「レッスンプラン」と「キャリアサポートプラン」が完成。
”奏法”をテーマとした「オンライン奏法研究会」と、”キャリア”をテーマとした「#どうする音大生」の2つのオンラインイベントが稼働している。
”奏法とキャリアの悩みに寄り添う教室をWEB上に創る”
この目標は実現できた。
今後、たくさんの方のチカラになれるように邁進していきたい。
そして、フリーランス音楽家として生きている姿の1つのロールモデルとなれたらいいなと思う。
「せっかく教員だったのにフリーランスに戻るなんて人生捨ててるね!」なんて言う人もいたらしいが、既存の枠に囚われずに複数の軸を立てれば十分な充実を図ることも可能ではないだろうか。
教員時代にクラスに語り続けた「自分の大好きなことと、誰かが喜んでくれることの2つが交わるところを見つける」ことを身を持って実現したい。
今後も、たくさんの方が音楽とともに豊かに生きることができるような教育活動の充実を目指すとともに、せっかく演奏復帰したからには、その時間をともにする方に幸福感と勇気を与えらえるような演奏活動を実現できるように研鑽を積んでいきたい。
鴇田 英之
この記事へのコメントはありません。