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「腹式呼吸」という言葉でもやもやしてる方も多いと思いますので、知識の整理に役立てていただけたら嬉しいです。
1.最近聞かなくなった「腹式呼吸」
ひと昔前は、腹式呼吸が良い呼吸法で胸式呼吸が良くない呼吸法、のような価値観が存在していたように思います。
そしていつの頃からか、
お腹に息は入らない。息が入るのは肺だから肋骨が動くのが自然。
という考え方が広まり多くの共感を呼びました。
じゃあ腹式呼吸はダメになったのかというとそんなことはありません。
ただ、腹式呼吸の方が体感が難しいということは間違いないと思います。
2.腹式呼吸の動き
いわゆる「腹式呼吸」は、 横隔膜が下がることによって陰圧になり空気が肺に入ってきます。そのことで横隔膜の下にある臓器が押し下げられてお腹が出る。
このことから「お腹に息を入れるように感じる」呼吸の仕方と言えます。
ただ、横隔膜は見えないのでなかなかその動きを感じることができません。
何年も前、まだジストニアの真っ只中で呼吸のことを調べまくっていた頃。
横隔膜は随意筋であるとする説も不随意筋であるとする説もあるということを知りました。その上、「半随意筋だって言ってる人がいたよ〜」なんて言われて…
もうわけわかんないですよね笑
「半」てなに?!笑
横隔膜は自分の意思で動かせるのか動かせないのか、それとも場合によるのか…
実際には、『自動運転も手動運転もできる』ということのようです。
意識せずとも勝手に動いているし、意識的に動かすこともできる。
ただ厄介なのが、横隔膜には感覚がないので今どっちでやってるのか分からないってとこなのです。
僕の結論は、
「横隔膜が動けるように表面の腹筋を緩めてあげた上で、動いていると信じる」
自分にできることをやる。これしかない。
3.動けるように周りの筋肉を緩める
これは可能ですね。 前のシリーズでもご紹介しました。
肋骨の上の方まで大きく息を吸って、「ほっ」と一気に吐き出す。 吐き出した時、お腹が前の方に出るのが分かると思います。
これでだいぶ緩みます。
さらにストレッチしたい時は、前にでた状態から更に前に押し出すように息を吐いていきます。 少し前に話題になった「腹圧呼吸」がこんな感じかなと思います。
みぞおちのあたりが固まっていると呼吸が制限されてしまうので、硬いなと思う時には有効な手段です。
僕の場合、ジストニア克服への最後の一手はここでした。
アンブシュアには一見関係なさそうですが、みぞおちの緊張がほぐれたことで、背中につながり肩につながり首から頭につながり、順々に体が戻っていきました。
わずか1〜2カ月くらいのスパンでドミノ倒しのように状況が好転していったのです。
3.横隔膜が動いていると信じる
こういってしまうと、心がけでしかないのですが、心配な人も証明があると信じられますよね。
「お腹が前に出るのは腹筋の力でやっているだけで、横隔膜は動いてないんじゃないか。」
こんな風に心配になる人は僕だけでしょうか笑
そこで実験です。
①お腹をへこませて、口も鼻も息が漏れないようにする。
②お腹を前に出していく。
どうですか?
陰圧になって苦しくなるのがわかるでしょうか。
これが横隔膜が動いている証明になるわけではありませんが、 「お腹を膨らませることで陰圧を生み出すことができている」 ということには確信がもてると思います。
ちなみに、横隔膜は息を吐く時には弛緩します。
周囲の腹筋によって押しあげられることで息を吐くことができるわけですね。
4.腹式呼吸のメリット
このようになかなか体感が難しい腹式呼吸ですがメリットもあります。
以下いくつかあげていきます。
・リラックスした楽な呼吸がしやすい。
・上半身の力みにつながりにくい。(脱力できる)
副交感神経が活発になって…というのは僕の範疇ではないので触れませんが、リラックスして演奏するのに大きく力になってくれます。
体を緩める作用があるといのも何か納得できるような気がします。
ただし、横隔膜のみの呼吸では肺全体の60%くらいしか使えていないそうです。
腹式だけではパワーや量が足りないことがあります。
肋骨までフル稼働させて、制限をかけずに体全体で呼吸を動かしながら音楽表現できたら良いのです。
そのためには、呼吸だけではなくて、発声など他の要素も組み合わせていく必要があります。
そしていざ吹きやすくなった時に、
「あ!呼吸ってこういうことだったのか!」
「なんだこれでよかったのか!」
と、理解できるようになるものです♬
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